以下ブランドからの説明です。↓
学生時代に初めてジャケットを作った時、基礎知識もないのにオリジナリティーを出したく、配布された型紙を自分なりにパターンを変えて作った。
ボタンホールの大きさも位置も合っておらず、ボタンがうまくはまらない。
袋布に裏地を使い洗うと表から裏地が見えたり、とにかく完成度が低い、誰の体型に合うのかもわからないジャケットができた。
ここ数年、自分が見る洋服は感動したものや残念なものに限らず
素材や形も制作者の意図のあるものが最低条件であることに気が付いた。
それらとは別の、ぬいぐるみに感じるような愛着を一番感じたのは、学生の時に作った意図のないジャケットであることを思い出した。
トワル組の際にスマートなジャケットをつくり、そこから肥満体に設計し直しました。
肥満体がより強調されるよう80g/㎡の中綿を使用していますが、ウエストは絞られています。
形や素材をより意図しないシルエットにするため裏地は生地の状態で一度洗いをかけ、製品の状態で洗いをかけ天日干しにしウールのみを縮ませ、制御しにくい形にしています。
使用されている水牛ボタンはブリーチの際に熱で若干変形し形や厚みは全てバラバラになります。
以上が公式のこの服に関しての文章で、
デザイナーからしたらこの文面に尽きると思うのですが、僕がこれをセレクトした理由を。
僕の大好きなブランドであるアンダーカバーの中でも特にファンの間で評価の高いシーズンである2004年のコレクション。
その「but beautiful」と名付けられたシーズンでは、アヴァンギャルドなぬいぐるみ作家のアンバレリーデュポンの作品を服に投影していました。
一時の過剰なブームが少し落ち着いてきたその頃、
アンダーカバーが裏原宿ストリートを抜け出してパリコレに進出。
表現方法もストリートからモードな路線に完全に移行し、
新たなブランド像を明確に作り始めたシーズンでした。
そのbut beautifulと冠されたシーズンの洋服は、
左右非対称のデザインで、過剰なボタンとボタンホールが並び、中綿が歪に詰められ不自然に着膨れるシルエットを形作って、ポケットからは裏地が覗く。
正にこのジャケットの様相でした。
単純に結果として、全く異なるアプローチから非常に似た外見にたどり着いた事はとても興味深いし、面白い。
何より、どちらもbut beautifulの文字通り、欠損した美しさと言うか、未完成で荒々しいからこその美がある様に感じられます。
そして、僕がA_MACHINEから常日頃感じている事である、
単純な懐かしさとも違う、服がひたすらに楽しかった当時の空気が何処と無く感じられるデザイン。
その当時のテンションをお客様にもお届け出来ればと思いました。
サイズフリー 身幅約53、肩幅約54、着丈約76、袖丈約60センチ